たしかな野党。

 民主党政権がはなばなしく発足するなか、総裁選がほとんど話題にならなかった自民党。今回は自民党についてかんがえてみたいとおもいます。

 口のわるいひとは「『政権党』であることがほぼ唯一のアイデンティティだった自民党は、政権からはなれた時点で役割をおえ存在価値はない」なんていっているみたいですが(そんなこといったら「政権交代」が唯一のはたじるしであった民主党は交代をなしとげたいま、やはり存在価値はないのではないでしょうか)。

 とりあえず目下注目すべきことは「自民党は再生できるか」です。なにせ今回の選挙で老人ばかりがうかり、わかいひとがのきなみ落選してしまいました。いかにも「戦後利権政治の象徴」みたいなひとがあつまった政党に未来があるのかどうか。

 でも、民主党政権がこのまま迷走をつづけ軌道修正ができなかったばあい、民主党にかわる政権をになうべき政党が必要です。その有力候補は、いまのところ自民党のみでしょう。

 それに日本に本当の意味で民主政治を定着させるためには、自民党の一党支配がこのましくないのとおなじく、民主党の一党支配もこのましくないのはあきらかです。その意味でも「たしかな野党」をそだてておく必要はあります。

 とりあえず汚名返上、政権奪還のために自民党がやるべきことは①野党の本分ときちんとはたす、②次世代の育成、といったところでしょうか。

 ①に関しては、国会の場で審議に参加し、まちがいを指摘し、対案をだし、しかるべきところで協力する。たぶん一番むずかしいのが最後でしょうが、政府与党に対し是々非々でのぞむすがたは国民がちゃんとみています。「なんでも反対」野党にくるしめられたからといって、なにも自分たちまでまねる必要はないでしょう。

 ②に関しては、今回落選した議員やそのほかからこころざしあるひとびとをあつめ、戦力として育成する。一般公募でひろく人材をあつめるのも手でしょう。若い世代をひろくとりいれることで、次世代をにないうる刷新されたすがたを印象づけなければなりません。

 要するに、政党としてあるべきすがたをきちんとしめせばいい、ということです。

 ただ、それにしても60年間かけてこびりついてきたダーティなイメージを払拭することはできないかもしれません。一番大事なことは「つぎの政権をにないうるたしかな野党をつくる」ことなのですから、おもいきってふるい自民党のカラをぬぎすてるのも手かもしれませんね。そういう意味では、これまで自民党本流だった町村派をはじめとして、麻生さんや福田さんといったいわば主力部隊が党の運営からはずれ、沈黙しているのは不気味です。総裁選そのものが「しずみゆく自民党を非主流派の谷垣さんにおしつける」ためのものだったとすれば、あの低調さ、もりあがらなさもちょっと納得できるかも。よくわかりませんが。

 あと問題は、マスコミがわりとロコツに民主党びいきであることでしょうか。すくなくともこれだけ発言や施策がブレまくっていれば、一年まえなら非難の大合唱だったはずです。

 まあそのマスコミがいつまでもつか、というのも未知数ですが。相当あせってますからね、いま。